大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成元年(特わ)412号 判決 1989年9月01日

本店所在地

東京都足立区古千谷五丁目五番地三七

松屋建設株式会社

(右代表者代表取締役 前田義彰)

本籍

同都同区平野三丁目一五番

住居

同都同区花畑四丁目一四番一三号

会社役員

前田義彰

昭和二六年三月一四日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子、廣瀬勝重出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人松屋建設株式会社を罰金二八〇〇万円に、被告人前田義彰を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人前田義彰に対し、この裁判確定の日から三年間、その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人松屋建設株式会社(以下、被告会社という。)は、東京都足立区古千谷五丁目五番地三七に本店を置き、不動産の売買及び建売住宅の販売を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人前田義彰(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仲介手数料を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六一年四月一日から同六二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四二三四万四九七九円で(別紙1修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が二億二八四四万八〇〇〇円あった(別紙2脱税額計算書参照)のにかかわらず、同六二年六月一日、東京都足立区栗原三丁目一〇番一六号所在の所轄西新井税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一九〇九万六一円で、課税土地譲渡利益金額が九三八一万七〇〇〇円であり、これに対する法人税額が二五一五万七七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第六五九号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億五四五万二八〇〇円と右申告税額との差額八〇二九万五一〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ、

第二  同六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六二三三万四六二一円で(別紙3修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が二億二三九六万七〇〇〇円あった(別紙4脱税額計算書参照)のにかかわらず、同六三年五月三一日、前記西新井税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四八九万八七四七円で、課税土地譲渡利益金額が一億五三五七万五〇〇〇円であり、これに対する法人税額が三七一五万二一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七一一七万三六〇〇円と右申告税額との差額三四〇二万一五〇〇円(別紙4脱税額計算書参照))を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  金塚実の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の領置てん末書

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  商品仕入高調査書

2  支払仲介手数料調査書

3  期末棚卸高調査書

4  租税公課調査書

5  受取利息割引料調査書

6  土地等の譲渡等に係る譲渡利益金額調査書

一  東京法務局城北出張所登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の受取手数料調査書

一  押収してある法人税確定申告書(昭和六二年三月期分)一袋(平成元年押第六五九号の1)

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  売上高調査書

2  期首棚卸高調査書

3  事務用消耗品費調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  押収してある法人税確定申告書(昭和六三年三月期分)一袋(平成元年押第六五九号の2)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社

判示第一及び第二の各事実につき、法人税法一六四条一項、一五九条一、二項

2  被告人

判示第一及び第二の各所為につき、法人税法一五九条一項

二  刑種の選択

被告人につき、いずれも懲役刑選択

三  併合罪の処理

1  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)

四  刑の執行猶予

被告人につき、刑法二五条一項

(求刑 被告人につき懲役一年、被告会社につき罰金三〇〇〇万円)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村俊夫)

別紙1

修正損益計算書

松屋建設株式会社

自 昭和61年4月1日

至 昭和62年3月31日

<省略>

別紙2

脱税額計算書

名称 松屋建設株式会社

自 昭和61年4月1日

至 昭和62年3月31日

<省略>

別紙3

修正損益計算書

松屋建設株式会社

自 昭和62年4月1日

至 昭和63年3月31日

<省略>

別紙4

脱税額計算書

名称 松屋建設株式会社

自 昭和62年4月1日

至 昭和63年3月31日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例